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伊乃の告別

※一族語りと妄想です。




伊乃の告別

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呪いとは何なのか。
私はいつも考えていた。

「あなたの使命は朱点童子によってかけられた呪いを解くこと」

初めてそう告げられたときもすんなりと受け入れることができた。
自分はそのために生まれてきたのだと初めから知っていたかのように。

天界からきた私を父は黙って抱きしめた。

嬉しい。
この人に出会えたことが。
この人のために戦えることが。
この人と共に生きていけることが。

幸せだ。
生まれてこれて幸せだ。


私達の家は京に用意されていた。
家の周りには何も無い。

奪われたんだ。鬼や妖怪に。
私達だけじゃない、京の人達も生活、財産、そして命。

取り返したい。そう強く思った。

京に来てからは毎日武器を握って訓練に明け暮れた。
自分より大きな得物に振り回されながら。
手に肉刺が出来てそれが潰れても、爪が割れても、体が軋んでも全然苦じゃなかった。

討伐に行くようになってますます怪我が増えたけど、むしろそんな苦痛を受けないために強くなろうと思うようになった。

鬼や妖怪が一番欲しいものはやっぱり人間の命なのだろうか。
だとしたら、鬼を殺すことは喜びと言えた。

人の大事な何かを奪うものに対する当然の報いだ。

弟が生まれてからさらに頑張れた。

そしてとうとう自分にも娘ができた。

なんて愛おしいんだろう。
この子のためだったらなんだって出来る気がした。

私の人生は充実していた。
そう思えるほどに、呪われているという事実よりその使命に没頭していたのだ。

父上が死んだ。

病気でもなく、怪我でもなく、寿命で。

そのとき初めて呪いというものを「理解した」のかもしれない。

短命と種絶。

これがそうなんだ。

私もそうなんだ。

娘も弟も。これから朱点を討つまではずっとこれが受け継がれていくんだ。


悲しい。


当主を継いでから私がしっかりしなければ、という気持ちにかられながら今までと違う何かが私の中に満たされていった。

娘たちの成長する姿を見るたびに、喜びと共に違う何かが双倍していく。


そしてついに自分の番がやって来た。

想像していたほど痛みや苦しみは無かった。

父上のように最期に何か言いたくて、口を開いた。

「ごめん」

違う、こんなことを言いたいんじゃない。なのに。

「ごめん・・・・・・ごめんなさい」

それがやっとだった。

そのまま飲み込まれるように意識が遠のいた。

そのときようやく自分の中に満たされてきた何かに気がついた。


虚しさだ。


満たされたんだ。身も、心も。


虚しさで一杯に。















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